日本臨床外科学会雑誌
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症例
Imatinib治療中に進行性の石灰化を認めた胃GISTの1例
澤野 武行川崎 仁司宮本 慶一中井 款和田 龍一袴田 健一
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キーワード: GIST, Imatinib, 石灰化
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2013 年 74 巻 3 号 p. 683-687

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抄録

胃gastrointestinal stromal tumor(GIST)における石灰化病巣は稀である.今回,Imatinib治療中に石灰化が出現し,経過とともに増大した胃GISTの症例を経験した.症例は60代女性で,胃噴門部に5cm大の粘膜下腫瘍を認め,生検によりGISTと診断された.開腹したところ腹腔内に多数の播種結節を認め,結節の一部を摘出し手術を終了した.病理学的にGISTの診断がなされ遺伝子解析ではKIT遺伝子のexon 11に点突然変異を認めた.Imatinib(400mg/日)内服を開始したところ,15カ月後に腫瘍内に石灰化が出現し次第に増大した.服薬開始後68カ月経過し腫瘍増大は抑制されていたが,石灰化巣は腫瘍断面の15.4%を占めるに至った.石灰化は治療に伴う腫瘍の変性に伴う変化と考えられ,Imatinibの治療効果を反映している可能性が考えられた.

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© 2013 日本臨床外科学会
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