日本臨床外科学会雑誌
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症例
胃切除後に内ヘルニアを合併した横行結腸軸捻の1例
堤 伸二稲葉 行男滝口 純佐藤 清林 健一菊地 惇
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2013 年 74 巻 3 号 p. 688-692

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抄録

症例は86歳,男性.67歳時に胃癌にて胃切除術を施行.腹部膨満,腹痛,嘔吐を主訴に前医に入院.腹部単純X線検査にて腸管拡張像を認め,下部消化管内視鏡検査にてS状結腸軸捻転が疑われたが,内視鏡下に解除不可能であったため当院へ紹介.腹部CTにて腹水,遊離ガス像を認めたため汎発性腹膜炎の診断にて緊急手術を施行.術中所見では,過長な横行結腸の中央部が左上腹部に落ち込んで前回手術創と癒着しており,横行結腸の屈曲により形成された間隙に内ヘルニアの状態で小腸が腹側に脱出,嵌頓していた.間隙を形成していた横行結腸のloopの基部が脱出した小腸の摩擦力により反時計回りに180度捻転しており,loopを形成している横行結腸は壊死していた.捻転を解除した後,壊死部の横行結腸を切除し,人工肛門を造設した.胃切除後の内ヘルニアに合併した横行結腸軸捻転の報告は自験例以外にはみられず,極めてまれな病態といえる.

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© 2013 日本臨床外科学会
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