日本臨床外科学会雑誌
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症例
胆嚢癌を伴った好酸球性胃腸炎の1例
文 宣貴杉本 武巳上坂 邦夫
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2013 年 74 巻 3 号 p. 771-775

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抄録

69歳男性,以前より気管支喘息に対しprednisoloneを5mg服用中.2007年10月に胆嚢癌の診断で手術を施行した.術後に発熱,心窩部痛,嘔吐,白血球増多,肝機能障害を発症したので術後胆管炎を考えた.症状は数時間から半日で軽快したが同様の症状は約1カ月に1回の頻度で繰り返し発生,顔面紅潮,全身の膨隆疹を伴うことがあった.発作の頻度,症状が増悪,末梢血の好酸球分画が58%と高度に増加,IgE値の上昇,CT,USで胃壁の著明な浮腫,胃生検で好酸球を多数認めた.以上よりEosinophilic gastroenteritisと診断した.術前の主訴は心窩部痛であり,精査中に胆嚢癌が認められたこと,また,術前末梢血中の好酸球上昇も認めており,術前から好酸球性胃腸炎が存在していたと考える.Prednisoloneを増量したところ症状改善し,現在prednisoloneを減量し再燃していない.

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© 2013 日本臨床外科学会
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