日本臨床外科学会雑誌
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症例
5,900gの嚢胞性腫瘤を形成した褐色細胞腫の1例
奥田 耕司西澤 竜矢大島 隆宏三澤 一仁
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2013 年 74 巻 4 号 p. 1075-1080

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抄録

巨大な嚢胞性腫瘤を形成した褐色細胞腫の切除例を経験したので報告する.症例は43歳の女性で,近医で巨大な腹部腫瘤を指摘されたため受診した.CTでは腹腔内を占居する最大径26cmの巨大な嚢胞性腫瘤を認め,血管支配から左副腎由来の腫瘍が考えられた.内分泌学的検査にて尿中カテコールアミン代謝産物の著明な上昇を認めたため,褐色細胞腫と診断した.手術は左副腎褐色細胞腫摘出,左腎合併切除術を施行し,術後経過は良好であった.摘出した腫瘍の重量は5,900gであり,病理組織学的検査にて,比較的転移率の低い高分化型の褐色細胞腫と診断された.検索しえた限りでは,5,000g以上の巨大褐色細胞腫で,術後健存している症例としては,自験例が最初の報告であった.

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© 2013 日本臨床外科学会
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