日本臨床外科学会雑誌
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症例
慢性関節リウマチ治療中に発症した乳腺原発悪性リンパ腫と盲腸癌の重複例
橋本 敏章古井 純一郎赤司 隼人川上 悠介北島 正親加藤 丈晴伊藤 裕司
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2013 年 74 巻 4 号 p. 1112-1117

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抄録

症例は76歳,女性.2012年1月より慢性関節リウマチ(RA)でメソトレキセート(MTX)による治療中であった.同年8月,右乳房の腫瘤を主訴に当科受診.無痛性で可動性良好であった.MMGおよびUSで右乳房上外側領域に約2.8×1.0cm大の境界明瞭で内部比較的均一な楕円形腫瘤を認めた.針生検を行い,H.E.および免疫染色の結果Non-Hodgkin lymphoma(diffuse large B-cell type)と診断された.PET-CTの全身検索で右乳房と盲腸に集積を認めた.大腸カメラで盲腸癌と診断された.リンパ節を含めた他臓器病変は認めず,乳腺原発の悪性リンパ腫と盲腸癌の同時性重複の診断となった.まず,盲腸癌に対し回盲部切除・リンパ節郭清を行った.高分化型腺癌(pSS,ly0,v0,n0,pStage II)であった.乳腺の悪性リンパ腫はAnn Arbor病期分類stage IEAであり,血液内科で化学療法および放射線療法となった.RAおよびそのMTX治療を契機に発症したと思われた乳腺悪性リンパ腫と盲腸癌の同時性重複のまれな病態を経験したので文献的考察を加え報告した.

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© 2013 日本臨床外科学会
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