日本臨床外科学会雑誌
Online ISSN : 1882-5133
Print ISSN : 1345-2843
ISSN-L : 1345-2843
症例
男性に発症した乳腺原発神経内分泌癌の1例
宮部 理香雑賀 三緒白石 好森 俊治磯部 潔笠原 正男田代 和弘
著者情報
キーワード: 男性乳癌, 神経内分泌癌
ジャーナル フリー

2013 年 74 巻 4 号 p. 885-889

詳細
抄録

症例は59歳,男性.右乳房に腫瘤を認め,徐々に増大傾向あり近医受診,切除生検にて神経内分泌癌の診断に至り,加療目的に当院初回受診,右胸筋温存乳房切除術+センチネルリンパ節生検を施行した.術中迅速にてセンチネルリンパ節に転移を認め,腋窩リンパ節郭清を追加で行った.切除標本の病理診断で約1cmの癌の遺残あり,免疫染色にてChromogranin,Synaptophysin陽性であり,神経内分泌癌と診断された.リンパ節転移は2個認められ,またホルモン感受性陽性,HER2陰性,Ki-67 10%の結果であった.術後補助化学療法としてFEC100 4クール施行後,ドセタキセル 4クール施行,現在タモキシフェン内服中である.
男性乳癌は全乳癌の0.5~1%程度の比較的稀な疾患であり,さらに神経内分泌癌は極めて稀である.治療方針も一定の見解が示されておらず,今後症例の蓄積と検討が必要である.

著者関連情報
© 2013 日本臨床外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top