2013 年 74 巻 4 号 p. 931-935
症例は78歳の女性で,嘔吐・腹痛を主訴に当科受診となった.腹部CTでupside down stomachを呈する巨大食道裂孔ヘルニアを認め,上部消化管内視鏡検査で食道胃接合部に潰瘍性病変を認め生検で中分化型腺癌と診断された.以上より,巨大食道裂孔ヘルニアに併存した早期胃癌と診断し,腹腔鏡補助下胃全摘術,食道裂孔ヘルニア修復術を施行した.最終診断はtype 0-IIc,T1bN0M0,Stage IAで癌遺残度はR0であった.術後合併症は認めず,術後18日目に転科となった.
Upside down stomachと胃癌の合併例は非常にまれで,鏡視下手術が施行された報告例は本邦1例目である.