日本臨床外科学会雑誌
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症例
腹腔鏡下手術を行った憩室炎によるS状結腸膀胱瘻の1例
谷脇 聡柴田 康行友田 佳介越智 靖夫齊藤 健太前田 祐三
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2013 年 74 巻 4 号 p. 973-976

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抄録

結腸憩室炎によるS状結腸膀胱瘻は,本邦ではまれだが,増加傾向にある疾患である.われわれは,本疾患に対し腹腔鏡下S状結腸切除術を施行し,良好な経過で治癒した症例を経験したので報告する.症例は44歳,男性.気尿,糞尿で近医より当院を紹介された.注腸造影で憩室と炎症により狭窄したS状結腸が見られた.CT,MRIでは膀胱内の空気と,結腸憩室が膀胱と癒着している所見があり,瘻孔も認めた.悪性所見は見られず,憩室炎によるS状結腸膀胱瘻と診断した.腹腔鏡下S状結腸切除を行ったが,この際,尿管等を十分に確認,温存し,瘻孔部で膀胱と強固に癒着したS状結腸を剥離した.膀胱はインジゴカルミンを混ぜた生食をみたし,漏れのないことを確認したうえで,留置カテーテルを6日間留置したのみで手術的処置は行わなかった.本疾患における腹腔鏡下手術は,患者に対する負担も軽く,早期の社会復帰が可能な有用な手段と考えられた.

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© 2013 日本臨床外科学会
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