日本臨床外科学会雑誌
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臨床経験
消化器外科における進行・末期癌患者に対する症状緩和手術165例の検討
前田 好章篠原 敏樹濱口 純梅本 浩平二川 憲昭濱田 朋倫
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2013 年 74 巻 5 号 p. 1138-1144

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抄録

切除不能癌患者のQOL改善において症状緩和手術の役割は重要であるが,手術成績に関する報告は少ない.緩和手術165例について,手術死亡率,退院率を検討した.癌性イレウス例では食事摂取を症状緩和の指標とした.原因癌は,膵癌24例,卵巣癌23例,胃癌22例等の23種類が含まれ,手術理由はイレウス124例,癌性瘻孔22例,黄疸10例,出血6例,消化管穿孔3例であった.緩和手術後のMSTは4.5カ月であり,12.7%に手術直接死亡を認めたが,60.6%が退院した.緊急手術では待機手術に比べ手術死亡が高率であった(31%,P=0.007).癌性イレウス例では,74%が食事摂取可能となった.食事摂取率は,胃癌(45%,P=0.004),多発癌性狭窄例(63%,P=0.003)で不良であった.症状緩和手術は一定の効果が得られ,QOL改善に貢献するが,十分なインフォームドコンセントが重要である.

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© 2013 日本臨床外科学会
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