日本臨床外科学会雑誌
Online ISSN : 1882-5133
Print ISSN : 1345-2843
ISSN-L : 1345-2843
症例
3本の脳室腹腔シャントによる成人腹腔内合併症の1例
古元 克好小島 秀信森 友彦伊東 大輔小切 匡史
著者情報
ジャーナル フリー

2013 年 74 巻 5 号 p. 1178-1182

詳細
抄録

3本の脳室腹腔シャント(VPシャント)留置中の患者の右下腹部痛に対して保存的加療で軽快したものの,水頭症症状をきたし腹部チューブに対して開腹手術を行った症例を経験した.患者は29歳女性,水頭症に対しVPシャントがそれぞれ0歳時,12歳時,28歳時に留置された.10カ月後排尿時に右下腹部痛を自覚,腹部CTでシャントチューブの先端が回盲部に位置し,周囲に膿瘍を疑われた.保存的加療を行い軽快したが,約6週間後水頭症症状と他のチューブ周囲の腹腔内液体貯留のため開腹手術を依頼された.仮性嚢胞を解放しチューブの位置変更を行ったが嚢胞が再燃,再度位置変更を行っても再燃したため,脳室外ドレナージを経て脳室心房シャントに至った.複数のシャントチューブが29年間の長期にわたり留置された仮性嚢胞の報告はみられず,かつ各チューブがトラブルを起こした特異な症例であった.

著者関連情報
© 2013 日本臨床外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top