日本臨床外科学会雑誌
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症例
再発性自然気胸術後に発症したノカルジア膿胸の1例
原野 隆之河野 匡藤森 賢鈴木 聡一郎木村 宗芳荒岡 秀樹
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2013 年 74 巻 5 号 p. 1224-1227

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抄録

ノカルジア感染症は日和見感染症として知られる感染症で局所感染だけでなく,血行感染により中枢神経をはじめとして全身に播種性に感染巣をつくる感染症である.症例は22歳男性.再発気胸に対し前医にて胸腔鏡下右上葉部分切除,胸膜被覆術を施行後,肺瘻が遷延し,その後膿胸に至った.急性膿胸の診断で胸腔鏡下膿胸腔掻爬術,右上葉部分切除術を施行し,胸腔内を掻爬し,被覆材を部分切除で切除した.術後経過は良好で術後7日目に胸腔ドレーンを遮断したのち,術後11日目に抜去した.手術検体よりノカルジア菌が検出されたため,ST合剤とCeftriaxoneの投与を開始し,外来で1年間ST合剤の内服を行い,ノカルジア感染症の再燃を認めていない.今回,若年成人に発症した再発気胸術後のノカルジア膿胸に対し手術を施行し,良好な結果をえた1例を経験したので報告する.

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© 2013 日本臨床外科学会
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