日本臨床外科学会雑誌
Online ISSN : 1882-5133
Print ISSN : 1345-2843
ISSN-L : 1345-2843
症例
大網・小腸・横行結腸が脱出した複合型食道裂孔ヘルニアの1例
鈴木 彰小出 直彦奥村 征大竹内 大輔尾崎 一典宮川 眞一
著者情報
ジャーナル フリー

2013 年 74 巻 5 号 p. 1233-1238

詳細
抄録

症例は74歳,女性.労作時の呼吸困難を自覚し来院した.胸部X線検査では縦隔から左右両肺野に広がる腫瘤影を認め,内部に消化管ガス像が認められた.内視鏡検査では食道胃接合部は切歯より30cmに位置し,胃の長軸方向のねじれが存在した.胃体上部に線状びらんと胃潰瘍が認められた.胸腹部CT検査では食道裂孔ヘルニアにより縦隔に滑脱した胃を認め,ヘルニア嚢内には小腸と結腸も認められた.Cameron病変を合併した複合型(type IV)食道裂孔ヘルニアの診断にて腹腔鏡補助下手術を行った.食道裂孔には胃,大網,小腸,横行結腸の陥入を認め,大網,小腸,横行結腸を腹腔内に還納した.食道裂孔の大きさは11×9cmであった.食道裂孔の修復にはポリプロピレン/ポリテトラフルオロエチレンシートを用いた.術後には呼吸困難や喘息症状は消失し,またPPIの服用を中止しても内視鏡的にびらんや潰瘍病変を認めていない.

著者関連情報
© 2013 日本臨床外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top