日本臨床外科学会雑誌
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症例
腹腔鏡補助下に切除した悪性黒色腫小腸転移の1例
栃木 透当間 雄之大平 学鈴木 一史宮内 英聡松原 久裕
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2013 年 74 巻 5 号 p. 1312-1316

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抄録

60歳台,男性.2010年右鼻腔悪性黒色腫で重粒子線照射および化学療法を施行.その後局所再発で腫瘍摘出術施行.2011年12月下血が出現.上部・大腸内視鏡で出血源は同定されず造影CTで小腸腫瘍が疑われた.経肛門的ダブルバルーン小腸内視鏡にて空腸に潰瘍を伴う隆起性病変を認めた.生検は壊死組織であったが悪性腫瘍が疑われ当科紹介.臍部と左右下腹部の3ポートで,腹腔鏡補助下に手術を行った.遠隔転移や腹膜播種は認めず,臍部創を延長し体外で小腸の切除・再建を行った.術後経過良好にて第11病日に軽快退院.切除標本は7×6cm大の白色調の亜全周性2型腫瘍で,組織学的に悪性黒色腫小腸転移と診断された.悪性黒色腫の遠隔転移例は予後不良であるが,単発で根治的切除が可能な場合には,その転移巣の切除により患者の生存期間が延長する可能性があり腹腔鏡による低侵襲な手術が有用であると考えられた.

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