症例は47歳,男性.基礎疾患として高血圧,糖尿病,洞性頻脈を指摘されていた.当院泌尿器科で尿路結石の精査目的に腹部造影CT施行したところ,膵頭部前面に造影される6.0×5.5cmの腫瘤を指摘された.悪性リンパ腫を疑い,当科にて腫瘍摘出術を施行した.切除標本の病理組織学的検索および免疫染色の結果では,NSE+,chromogranin A+であり,Extraadrenal intraabdominal paragangliomaと診断した.術後経過は良好で,術後約10カ月の現在,再発は認めていない.膵頭部前面に発生したparagangliomaは稀であり,文献的考察を加えて報告する.