日本臨床外科学会雑誌
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症例
S状結腸癌切除・膀胱部分切除術後に発症した膀胱破裂の1例
水野 智哉降籏 誠久保 淑幸谷 雅夫
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2013 年 74 巻 5 号 p. 1372-1374

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抄録

症例は43歳,男性.腹満・臍周囲痛を主訴に来院した.来院時,腹部に軽度の圧痛を認めるのみで,外傷痕は認めなかった.血液生化学検査上,BUN/Crの軽度上昇を認めた.既往に約2年前S状結腸癌に対しS状結腸切除・膀胱部分切除術を施行した経緯もあり,保存的治療を開始した.同日夜,腹痛の増強,乏尿を認め,精査の結果,腎機能障害の悪化,アシドーシス,腹水の貯留を認めた.翌朝,さらなる症状増悪を認め,汎発性腹膜炎の診断で緊急手術を施行した.術前導尿カテーテルは挿入困難であった.開腹所見で,骨盤内回腸と膀胱に癒着を認め,その背側の膀胱に孔を認めた.前回治療の際に施行した膀胱部分切除部位近傍に発生した膀胱破裂に伴う汎発性腹膜炎と診断,穿孔部を縫合閉鎖,恥骨上膀胱瘻造設術を施行し手術を終了した.今回われわれはS状結腸癌に対する膀胱合併部分切除術後の膀胱破裂の1例を経験したので若干の文献的考察を加え報告する.

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© 2013 日本臨床外科学会
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