日本臨床外科学会雑誌
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症例
(1→3)-β-D-グルカン高値が遷延した十二指腸憩室穿孔後の真菌性腹膜炎の1例
若杉 健弘高橋 広城木村 昌弘佐藤 幹則竹山 廣光
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2013 年 74 巻 5 号 p. 1382-1387

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抄録

症例は57歳,女性.急性腹症にて手術施行,十二指腸憩室による穿孔性腹膜炎であったが,Cushing症候群を併存し,全身状態も不良のため,分流手術を施行した.術後(1→3)-β-D-グルカン高値となり,腹腔内からCandidaも検出されたため,真菌性腹膜炎に対して抗真菌薬投与を開始した.臨床症状は改善したが(1→3)-β-D-グルカン高値は遷延し,抗真菌薬の投与中止の判断に難渋した.
(1→3)-β-D-グルカンは迅速に結果が得られ,深在性真菌症の診断には非常に有用である.一方,(1→3)-β-D-グルカンは必ずしも深在性真菌症の病勢と一致しない場合もあるため,抗真菌薬の継続や中止の判断には,培養結果や臨床症状などを,総合的にBundleとして判断する必要がある.

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© 2013 日本臨床外科学会
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