日本臨床外科学会雑誌
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症例
胃MALTリンパ腫と早期胃癌の1共存例
新井 洋紀松谷 毅吉田 寛笹島 耕二内田 英二
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2013 年 74 巻 6 号 p. 1523-1528

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抄録

74歳,男性.既往歴は統合失調症,慢性C型肝炎.健診で貧血を指摘され紹介受診となった.上部消化管内視鏡にて,胃体上部大弯側に広範囲で境界不明瞭な潰瘍性病変を認めた.生検で中分化管状腺癌であったが,再検査では,びまん性異型リンパ球増殖を認め悪性リンパ腫が疑われた.所属リンパ節腫脹や遠隔転移はなく,胃悪性リンパ腫と胃癌の重複と診断し胃全摘術を施行した.切除標本の病理組織検査では,lympho-epithelial lesion形成とCentrocyte-like cellsよりmucosa associated lymphoid tissue (MALT)型リンパ腫と診断し,さらに中分化管状腺癌(T1aN0)が同一病変内で指摘されたため重複するものと診断したが,検鏡法ではHelicobacter Pylori陰性であった.本症例は胃MALTリンパ腫と早期胃癌が共存した極めてまれな症例であった.

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