日本臨床外科学会雑誌
Online ISSN : 1882-5133
Print ISSN : 1345-2843
ISSN-L : 1345-2843
症例
Trisomy8陽性骨髄異形成症候群に併発した腸管Behçet病穿孔の1例
川崎 有亮寺嶋 宏明上田 修吾福永 明子八木田 正人
著者情報
ジャーナル フリー

2013 年 74 巻 6 号 p. 1547-1551

詳細
抄録

症例はtrisomy8陽性骨髄異形成症候群とSjögren症候群で当院加療中の32歳の女性.右下腹部痛と発熱を主訴に緊急入院し,絶食と抗生剤加療で症状は改善したが,入院9日目に腹痛が再燃,腹部CT検査で消化管穿孔に伴う汎発性腹膜炎と診断された.緊急開腹術で上行結腸および終末回腸の穿孔と判明し,結腸右半切除+回腸人工肛門造設術を施行した.回盲部病変は病理学的診断で非特異的潰瘍であり,口腔内アフタ性潰瘍・顔面の痤瘡様皮疹・手指関節炎の特徴的な臨床症状もふまえて,不全型Behçet病の回腸潰瘍穿孔の確定診断に至った.近年,本邦におけるtrisomy8陽性骨髄異形成症候群に腸管Behçet病を併発する報告が増えており,このような場合は穿孔のリスクを有する回盲部領域の潰瘍合併の可能性を念頭に置き,できるだけ早期の下部消化管検査を施行するべきである.

著者関連情報
© 2013 日本臨床外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top