日本臨床外科学会雑誌
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症例
腟転移および肝肺転移切除後長期生存中の盲腸癌の1例
小倉 俊郎西村 洋治網倉 克己坂本 裕彦黒住 昌史田中 洋一
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キーワード: 大腸癌, 盲腸癌, 膣転移
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2013 年 74 巻 6 号 p. 1622-1626

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抄録

症例は63歳の女性で右下腹部痛を主訴に前医を受診,盲腸癌および多発肝転移の診断で2000年6月に当科紹介となった.経過中に不正性器出血を認め,婦人科診察にて膣に腫瘤を指摘,生検で腟腺癌と診断された.同年7月,右半結腸切除術および腟部分切除術,同年8月,肝右葉切除術および肝S2部分切除術を施行した.病理組織学的診断にて腟腫瘍は盲腸癌腟転移と診断された.2001年8月,肝S2に再発を認め,肝S2部分切除術を施行した.2002年3月,計5個の両側肺転移(右3個,左2個)に対し,両側肺部分切除術を施行した.最終術後10年経過し無再発生存中である.大腸癌腟転移は非常にまれであり,治療法も明確には定まっていない.腟転移報告例の文献上,他に切除不能病変を認めない場合,積極的な外科的切除で長期生存が期待でき,有効な治療であると考えられた.

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© 2013 日本臨床外科学会
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