日本臨床外科学会雑誌
Online ISSN : 1882-5133
Print ISSN : 1345-2843
ISSN-L : 1345-2843
症例
妊娠28週に早期腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行した急性胆嚢炎の1例
加藤 洋介尾山 佳永子吉田 周平奥田 俊之太田 尚宏原 拓央
著者情報
ジャーナル フリー

2013 年 74 巻 6 号 p. 1680-1683

詳細
抄録

症例は37歳,女性,妊娠28週.心窩部痛を主訴に発症20時間後に受診.WBC 11,300/ul,CRP 1.01mg/dl.腹部USで胆嚢腫大,壁肥厚を認め,内部に結石が充満.緊急腹部MRIを施行し,胆嚢頸部に結石陥頓疑い.急性胆嚢炎の診断で入院.同日経皮経肝胆嚢穿刺吸引を施行.処置後も腹痛が軽快せず,腹膜炎を併発.陣痛誘発を認めた.入院6時間後に緊急で腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行.術前より塩酸リトドリンの持続点滴を開始し,全身麻酔後にUSで子宮底の位置を確認.臍上2横指の位置で開腹し,4トロカー法で胆嚢を摘出した.合併症なく第6病日婦人科に転科,第20病日に退院.妊娠第39週に正常分娩で出産.妊婦に対する腹腔鏡手術は過去10年内に様々な症例報告がなされ,妊娠2期,3期の初期は比較的安全に手術が可能とされる.妊娠中であっても,十分な全身管理のもと早期腹腔鏡下胆嚢摘出術は治療の選択肢になり得る.

著者関連情報
© 2013 日本臨床外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top