2013 年 74 巻 7 号 p. 1765-1769
左乳房部分切除,センチネルリンパ節生検術後に発生した乳房内乳糜漏を経験した.65歳,女性.左乳房腫瘤を主訴に受診.針生検で乳癌疑い,Lt. Bp+SN施行した.経過は問題なく術後2日目にドレーン抜去した.診断はSpindle cell carcinoma T2N0M0 ER(-),PgR(-),HER2(-)であった.術後9日目に創部の腫脹を主訴に受診し,白色液体を190ml穿刺吸引した.TG 819で乳糜漏と診断した.脂肪制限食と間歇的排液で軽快しないため,術後49日目にドレーン再留置した.乳房皮下(真皮の直下)に漏出部位を認め,結紮し閉鎖式ドレーンを留置,絶食・高カロリー輸液管理とした.ドレーン留置後12日目に排液なくなり食事開始,ドレーン留置後19日目に抜去した.センチネルリンパ節生検後の術後乳房内乳糜漏は報告がなく,漏出部位が皮下と特定された稀な症例と考えられた.