2013 年 74 巻 7 号 p. 1770-1773
症例は19歳,女性.右乳房に疼痛・発赤を伴う腫瘤が出現し近医受診,膿瘍形成を認め切開排膿を受けた.翌日から39℃の熱発,その後,両側下腿に結節性紅斑が出現した.症状軽快せず,また下肢痛で歩行も困難になり当院受診,入院とした.入院後抗生剤,消炎鎮痛剤を投与するも高熱が続いた.乳腺の針生検にて肉芽腫性乳腺炎を疑われ,プレドニゾロン20mg/日を内服投与すると速やかに解熱,下腿の発赤腫脹も著明に減退した.徐々にプレドニゾロン減量し,約4カ月で中止した.その後,再燃無く経過している.
肉芽腫性乳腺炎は,片側性の乳房に孤立性の腫瘤を認める病因不明の比較的稀な疾患である.また,結節性紅斑は両側下腿伸側の皮下硬結を伴う有痛性の紅斑で,病因が不明なもの,感染症や,他の疾患に続発するものがある.
肉芽腫性乳腺炎と結節性紅斑の合併は,非常に稀であり文献的考察を加えて報告する.