2013 年 74 巻 7 号 p. 1782-1786
Histiocytoid breast carcinomaは1973年に眼瞼転移を伴う予後不良な乳癌としてHoodらにより最初に報告された稀な組織亜型であり1),診断基準や腫瘍の概念が確立されていない.浸潤性小葉癌の亜分類である多形型に含まれるとされる報告もあるが,その病理学的所見から近年ではアポクリンへの分化が注目されている.疾患の概念が広く認識されていないため,発生率や予後などの生物学的特徴については明らかでない.当院において,histiocytoid breast carcinomaと診断された症例を3例経験したため,その病理学的特性および臨床経過について若干の文献的考察を加えて報告する.