2013 年 74 巻 7 号 p. 1973-1978
肝動脈瘤は内臓動脈瘤の約20%を占め,比較的稀な疾患である.今回われわれは異なる治療を行った3例の肝動脈瘤を経験したため,文献的考察を加えて報告する.1例目は腹腔動脈起始部狭窄あり,腹腔動脈から総肝動脈,脾動脈まで紡錘状に瘤化していた.腹腔動脈,左胃動脈を結紮し,瘤切除ののち,総肝動脈と脾動脈を吻合した.2例目は左肝動脈瘤破裂に対し,経カテーテル的コイル塞栓術(transcatheter arterial embolization:TAE)を行った.瘤の近位と遠位をコイリングし血流消失させた(isolation).3例目は右肝動脈瘤に対しTAEを行い,瘤内コイリングし血流を消失させた(packing).3例とも術後経過は良好であった.肝動脈瘤に対する治療として,それぞれ解剖学的な局在を考慮し,外科的治療,血管内治療を適切に選択することが,良好な結果につながると考える.