2013 年 74 巻 8 号 p. 2106-2110
症例は27歳の川崎病の既往を有する男性.2008年8月,胸部不快感および心室性不整脈を認め,冠動脈造影を施行.右冠動脈の完全閉塞および左前下行枝近位部の巨大冠動脈瘤を認めた.同年12月,両側内胸動脈を用いたオフポンプ冠動脈バイパス術を施行.術後冠動脈造影にて左内胸動脈の血流競合を認めた.その後は症状も消失していたが,3年後の虚血イベントを契機に左内胸動脈の再開通を認め,冠動脈瘤の描出もされなかった.有意狭窄のない巨大冠動脈瘤の場合でも,動脈グラフトを使用することにより遠隔期の致命的な虚血イベントを回避するものと思われた.