日本臨床外科学会雑誌
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症例
下部直腸原発低色素性悪性黒色腫の1例
保母 貴宏横山 登相田 貞継関川 高志清水 浩二熊谷 一秀
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2013 年 74 巻 8 号 p. 2239-2244

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抄録

症例は67歳,男性.下血を主訴に当院を受診.肛門より脱出する硬い腫瘤を認め精査目的で入院となった.下部消化管内視鏡検査で下部直腸を主座にHerrmann lineを超え肛門管に達する亜有茎性の隆起性病変が認められた.その中心部は陥凹しており少量の壊死組織を伴っていた.生検の結果は低分化型腺癌で,下部直腸癌と術前診断をした.腹会陰式直腸切断術を施行したが,病理組織診断は低色素性悪性黒色腫(S-100,HMB45,MART-1;陽性)であった.直腸肛門部に発生する悪性黒色腫の90%以上は黒色の腫瘍であり術前に悪性黒色腫を疑い免疫染色等にて確定診断を得ることが可能である.しかし,低色素性悪性黒色腫ではメラニン産生が乏しく肉眼的に黒色を呈さず診断に難渋することが問題である.今回,われわれは下部直腸に原発した低色素性悪性黒色腫の1例を経験したので若干の文献的考察を加えて報告する.

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© 2013 日本臨床外科学会
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