日本臨床外科学会雑誌
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症例
肝内胆管癌リンパ節転移との鑑別を要したサルコイドーシスの1例
山村 和生杉本 博行猪川 祥邦野本 周嗣竹田 伸小寺 泰弘
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2013 年 74 巻 8 号 p. 2260-2264

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抄録

症例は58歳,女性.サルコイドーシスでステロイド内服中であった.右下腹部違和感と体重減少を主訴に受診した.造影CT上,肝右葉に14cm大の腫瘍を認め,肝内胆管癌が疑われた.肝十二指腸間膜内に濃染するリンパ節腫大を認め,18-fluorodeoxyglucose-positron emission tomography (FDG-PET)では同部へのFDG集積が亢進していた.大動脈周囲リンパ節の腫大も認めた.造影効果は原発巣に類似していたが,FDG 集積は明らかではなかった.転移性病変との鑑別のため,大動脈周囲リンパ節生検を行い,その結果,肉芽腫の診断であった.二期的に,根治切除を行い,現在無再発生存中である.サルコイドーシスは全身の肉芽腫性疾患でリンパ節腫脹をきたしやすい.悪性腫瘍を合併した際にはリンパ節転移との鑑別が問題となるため,治療方針決定の際には慎重な判断が必要である.

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© 2013 日本臨床外科学会
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