2013 年 74 巻 9 号 p. 2359-2363
目的:ESDによる大腸穿孔後に保存的治療を施行し,ESD未完遂あるいはESD完遂後ながら病理結果により根治術を要した症例に対する腹腔鏡下大腸切除術(以下,LAC)の根治術としての妥当性を検討した.
方法:ESD穿孔後保存的治療後にLACを施行した大腸癌5例(穿孔群)の手術所見,手術成績につき検討した.ESD,EMRを穿孔なく完遂後,病理結果によりLACを施行した9例と同時期に施行した通常LAC 200例との比較検討も行った.
結果:穿孔群のうち4例では穿孔由来の癒着を認めず,手術操作への影響はなかった.3群間で手術時間,術中出血量,術後在院日数,術中偶発症,術後合併症の発生に有意差を認めなかった.
結語:ESD穿孔後保存的治療が可能であった症例に対しても,穿孔なく完遂されたESD後症例さらには通常の大腸癌症例と同等のLACが施行可能であった.