日本臨床外科学会雑誌
Online ISSN : 1882-5133
Print ISSN : 1345-2843
ISSN-L : 1345-2843
症例
G-CSF産生胃癌の1例
大島 有希子手島 伸矢崎 伸樹斎藤 俊博武田 和憲鈴木 博義
著者情報
ジャーナル フリー

2013 年 74 巻 9 号 p. 2470-2475

詳細
抄録

症例は88歳,男性.息切れ,手足の浮腫みを主訴に近医を受診し,採血にて著明な貧血,白血球増多を認めた.上部消化管内視鏡検査にて胃体下部大彎に1型腫瘍を認め,中分化型腺癌と診断された.術前白血球は30,500/μl,血性G-CSF値は119pg/mlと上昇していた.出血制御を目的に胃全摘術を施行した.病理組織診断ではtub2,pT4a(SE),ly3,v3,N3b(16/34),pPM0,pDM0,M1(LYM),Stage IVで,G-CSF染色陽性であった.術後白血球数は減少し経過は良好であったが,術後化学療法は行わず,肝転移,リンパ節転移の進行を認め,術後9カ月で死亡した.G-CSF産生胃癌は比較的稀で,本邦報告例の検討を含め報告する.

著者関連情報
© 2013 日本臨床外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top