症例は88歳,男性.息切れ,手足の浮腫みを主訴に近医を受診し,採血にて著明な貧血,白血球増多を認めた.上部消化管内視鏡検査にて胃体下部大彎に1型腫瘍を認め,中分化型腺癌と診断された.術前白血球は30,500/μl,血性G-CSF値は119pg/mlと上昇していた.出血制御を目的に胃全摘術を施行した.病理組織診断ではtub2,pT4a(SE),ly3,v3,N3b(16/34),pPM0,pDM0,M1(LYM),Stage IVで,G-CSF染色陽性であった.術後白血球数は減少し経過は良好であったが,術後化学療法は行わず,肝転移,リンパ節転移の進行を認め,術後9カ月で死亡した.G-CSF産生胃癌は比較的稀で,本邦報告例の検討を含め報告する.