日本臨床外科学会雑誌
Online ISSN : 1882-5133
Print ISSN : 1345-2843
ISSN-L : 1345-2843
症例
脾sclerosing angiomatoid nodular transformationの1例
渡辺 俊之三浦 恵美柿原 知原田 真悠水中山 洋佐々木 愼
著者情報
ジャーナル フリー

2013 年 74 巻 9 号 p. 2598-2603

詳細
抄録

症例は52歳,男性.大腸ポリープ切除後の経過観察のため受診した際,4年間で7kgの体重減少があることを訴えた.腹部CTを施行したところ,脾臓に造影効果の乏しい境界明瞭な5cm大の腫瘤が認められた.画像診断で悪性腫瘍を完全には否定できず,患者も切除を強く希望したため,用手補助下腹腔鏡手術(HALS)による脾臓摘出術を行った.腫瘤は6.5×5.0×4.0cm大で,割面では白色充実性の内部に赤褐色の小結節を多発性に認めた.組織学的には線維性硬化性間質を背景に多数の血管腫様結節を認め,CD34,CD8,CD31を用いた免疫組織学的所見から,sclerosing angiomatoid nodular transformation (SANT)と診断した.本邦におけるSANTの報告例は9例のみで,非常にまれな疾患である.画像による診断が困難であることから,確定診断のためには手術が必要と考えられる.

著者関連情報
© 2013 日本臨床外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top