日本臨床外科学会雑誌
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症例
大網原発Castleman病の1例
鈴木 敏之若山 昌彦松本 裕史神谷 誠
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2014 年 75 巻 1 号 p. 229-233

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抄録

症例は49歳,女性.健診で腹腔内腫瘤を指摘され,他医院で副腎腫瘍としてフォローされていた.その後,転居に伴い当院紹介受診となり,精査のための腹部造影CTと腹部エコーで3cm大の大網腫瘍疑いと診断された.患者の希望により半年後に再検査を実施し,同様の所見であったが,診断目的も兼ねた開腹手術を施行し,切除標本の病理結果から限局型のCastleman病(hyaline vascular type)と診断した.
腹腔内腫瘤は術前確定診断が困難な例が多く,切除標本によって診断的治療とするケースが多い.中でも,本症例のような大網発生のCastleman病は非常に稀な疾患だが,鑑別診断の一つに挙げる必要があると考える.また,限局型のCastleman病は摘出することで予後は良好であるが,悪性リンパ腫の合併や再発することもあるので経過観察が必要と思われる.

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© 2014 日本臨床外科学会
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