日本臨床外科学会雑誌
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症例
卵黄血管遺残により絞扼性イレウスをきたした1例
山本 暢子重里 政信
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2014 年 75 巻 1 号 p. 91-95

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抄録

はじめに:卵黄血管とは原始腸管を栄養している血管で,出生後も遺残したものを卵黄血管遺残と呼ぶ.われわれは,遺残卵黄血管による絞扼性イレウスの1例を経験したので報告する.
症例:26歳男性で開腹歴はなかった.腹痛・嘔吐を主訴に来院,CTで小腸の著明な拡張・浮腫と一部絞扼が疑われ,絞扼性イレウスの診断で緊急手術となった.開腹後,腹壁から腸管に伸びる索状物に小腸が陥頓し絞扼性イレウスとなっていた.索状物は回盲部から口側約80cmの腸間膜から起始しており,根部を結紮・切離した.病理組織にて索状物内に充血を伴う管腔構造を認め,遺残卵黄血管と考えられた.
考察:卵黄腸管遺残であるMeckel憩室は約2%の頻度で発生し,うち卵黄血管遺残合併は1~6%と言われている.また,卵黄血管遺残の半数はMeckel憩室非合併例との報告もある.開腹歴のない絞扼性イレウスを経験し,原因として卵黄血管遺残が考えられた.

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