日本臨床外科学会雑誌
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症例
小腸間膜リンパ管静脈奇形の1例
林 雅規秋山 紀雄一宮 正道藤田 雄司濱野 公一
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2014 年 75 巻 10 号 p. 2774-2778

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抄録

症例は30歳,女性.腹痛を主訴に当院を受診した.腹部超音波検査で左側腹部に11×7cmの多房性嚢胞性腫瘤を認め,腸間膜軸と直角方向に可動性を有していた.腹部造影CT検査で嚢胞内部にfluid-fluid levelを認めており,嚢胞内出血が疑われた.保存的治療で腫瘤は縮小したが,再出血や破裂などのリスクを考慮し腹腔鏡補助下に摘出術を行った.病理組織学的にD2-40陽性のリンパ管奇形とCD31陽性でD2-40陰性の静脈奇形が混在しており,小腸間膜リンパ管静脈奇形と診断された.術後3年を経過するが再発を認めていない.
これまでリンパ管腫・血管腫と呼称されていた病態は,最近ISSVA分類でリンパ管奇形・静脈奇形へと分類されるようになった.本邦で小腸間膜リンパ管奇形(リンパ管腫)に静脈奇形(血管腫)が合併した報告はわずか2例のみである.極めて稀な症例と思われたので,文献的考察を加え報告する.

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© 2014 日本臨床外科学会
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