2014 年 75 巻 11 号 p. 2976-2981
症例は89歳,女性.2005年2月右乳癌に対して乳房温存術+腋窩リンパ節郭清施行(右AC領域 T2N0M0 stage IIA.invasive ductal carcinoma,papillotubular type).術後残存乳房に放射線治療を施行した.術後より右上肢および右乳房の浮腫が著明であった.2011年3月および2013年3月と残存乳腺に腫瘤が出現し,2011年当初は乳癌の乳腺内再発と診断されたが,2013年3月摘出標本で乳腺血管肉腫と診断がつき,見直しにて2011年の標本も血管肉腫と診断された.その後,皮内および皮下への転移・再発を繰り返し,現在Docetaxel(30mg/m21投1休)による化学療法にて加療中である.今回われわれは,乳癌に対する乳房温存術後に発生した乳腺血管肉腫の1例を経験したので報告をする.