日本臨床外科学会雑誌
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症例
びまん性にDCISを有して急速増大した乳腺線維腺腫再発の1例
高木 健裕竹内 透竹内 新治大久保 雄一郎
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2014 年 75 巻 11 号 p. 2986-2991

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抄録

症例は41歳,女性.左乳房C領域に110×60mmと増大傾向にある大きな線維腺腫を認めこれを切除した.病理学的に間質と上皮の増殖を認める線維腺腫で核異型は乏しく悪性像は認めなかった.半年後に行った乳腺エコーで切除部に6×4mmの腫瘤が出現し,8カ月間サイズは不変であったが,その後3カ月で腫瘤は45×30mmに急速増大した.穿刺組織診を施行し,線維腺腫の再発と考えられ局所麻酔下に切除した.最終病理所見では非浸潤性乳管癌(DCIS)を含有した線維腺腫であった.乳管内を腫瘍細胞が充実性に増殖していたが,DCISは被膜を有する線維腺腫内に留まっていた.生検で取り切れたと判断し追加切除を行わず,術後はTamoxifen内服と乳房照射を施行した.今回われわれは,110mm大の大きな線維腺腫切除部分に発生し,被膜内にびまん性にDCISを有して急速増大した線維腺腫再発の1例を経験したので報告する.

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© 2014 日本臨床外科学会
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