日本臨床外科学会雑誌
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症例
腹臥位胸腔鏡下手術で修復したBochdalek孔ヘルニアの1例
金森 大輔篠原 寿彦藤田 明彦田中 雄二朗谷田部 沙織羽生 信義
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2014 年 75 巻 11 号 p. 3006-3009

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抄録

Bochdalek孔ヘルニアに対する治療は,外科的治療が第一選択とされており,これまでに開腹,開胸,胸腔鏡,ならびに腹腔鏡下手術による修復例が報告されている.今回,人工気胸を併用した腹臥位胸腔鏡下手術にて修復しえたBochdalek孔ヘルニアを経験した.症例は49歳,女性.健診異常を主訴に当院を受診され,胸部CT検査にて左背側部に横隔膜ヘルニアを認め,Bochdalek孔ヘルニアと診断した.術中,人工気胸を用いることで分離肺換気が不要となり,また,腹腔内との圧較差を認めるため嵌入した臓器を容易に還納することが可能であった.また,腹臥位で行うことで血液や胸水,肺実質が腹側へ偏位するため,良好な視野および術野を確保することができた.術後経過は良好であり,術後4日目に退院された.人工気胸を併用した腹臥位胸腔鏡下手術はBochdalek孔ヘルニアの手術として低侵襲で利点の多い術式である.

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