日本臨床外科学会雑誌
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症例
先天性血小板機能異常症・血友病Bを併存した胃癌の1例
三野 和宏後藤 順一土橋 誠一郎服部 優宏安本 篤史小野寺 一彦
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2014 年 75 巻 11 号 p. 3039-3045

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抄録

先天性血小板機能異常症および血友病B上記疾患が併存した患者に発症した胃癌に対し,腹腔鏡下幽門側胃切除を施行した症例を経験したので報告する.
症例は59歳の男性で,胃体下部の早期胃癌の診断で当科紹介となった.術前,活性化部分トロンボプラスチン時間が軽度延長していたことから,新鮮凍結血漿(FFP)投与下で手術を行った.術後,FFP投与に反応しない出血が持続したため再手術を行ったところ,腹腔内に多量の凝血塊を認め,凝血塊を除去する際に胃空腸吻合部に小さな拍動性出血を認めた.同部位は容易に止血できたものの,組織の易出血性所見を認めた.再手術前に評価していた血小板凝集能と血液凝固第IX因子活性の低下を認めたため,濃厚血小板と第IX因子製剤を併用することで,再手術後は出血傾向を認めることなく経過した.血小板機能障害をきたす基礎疾患,薬剤使用歴はなく,先天性血小板機能異常症・血友病Bの診断となった.

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