日本臨床外科学会雑誌
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症例
ステロイドパルス療法を行った胃透視後結腸穿孔によるバリウム腹膜炎の1例
舘野 佑樹
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2014 年 75 巻 11 号 p. 3094-3097

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抄録

胃透視後結腸穿孔によるバリウム腹膜炎は稀ではあるが,重篤な合併症である.バリウム遺残による術後炎症反応遷延がその一因とされる.今回われわれは,発症早期の手術と術早期からのステロイドパルスにより良好な転帰をたどった症例を経験したので文献的考察を加えて報告する.症例は44歳の女性で,バリウムによる胃透視検査後3日目にS状結腸穿孔,バリウム腹膜炎を発症し緊急手術を施行した.汎発性バリウム性腹膜炎を呈しており,手術は大量の温生食による腹腔内洗浄と人工肛門造設を行った.遺残バリウムに起因する炎症反応上昇・遷延を予防するため,術当日よりステロイドパルスを施行した.術後経過は良好で,退院後も合併症なく経過している.

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© 2014 日本臨床外科学会
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