日本臨床外科学会雑誌
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症例
健診にて発見された胆嚢リンパ管腫の1例
高山 由理子及川 卓一萩原 謙村山 公鈴木 武樹高山 忠利
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2014 年 75 巻 12 号 p. 3332-3337

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抄録

症例は63歳,女性.健診にて,胆嚢壁に近接した充実成分を伴う嚢胞を指摘され当科受診した.腹部超音波検査は,胆嚢および十二指腸に接するように60×28mm大の隔壁を伴った嚢胞性病変を認めた.DIC-CTは,造影されない軟部陰影を同部位に認めた.胆嚢壁外性嚢胞性疾患と診断し,審査腹腔鏡も踏まえ手術を行った.術中所見は,胆嚢壁外性に単純嚢胞性病変認め,腹腔鏡下胆嚢摘出術を行った.病理組織学的検索にて悪性所見は認めず,免疫染色にてリンパ管腫の診断となった.術後経過は良好で,合併症なく退院した.胆嚢リンパ管腫は現在まで報告例が欧文で11例,和文で3例と稀な疾患である.胆嚢の嚢胞性疾患および悪性腫瘍との鑑別が困難であり,手術にて確定診断を得ているのが現状である.健診にて発見され,症状出現の無い時期に手術にて確定診断を得ることができた1例を報告する.

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© 2014 日本臨床外科学会
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