日本臨床外科学会雑誌
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症例
尿閉を伴った腹腔内遊離体(8.5×7cm)の1例
玉置 裕香吉田 泰村野 武志外山 栄一郎北岡 光彦那須 二郎
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2014 年 75 巻 12 号 p. 3344-3347

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抄録

症例は63歳,男性.尿意切迫感で当院泌尿器科を受診し,MRI検査で膀胱直腸窩に7cm大の石灰化腫瘤を認め,形態や部位より巨大腹腔内遊離体と診断した.無症状であったため経過観察していたが,2カ月後に排尿困難,腹痛が出現したため再診.血液検査所見で炎症所見の高値,高度腎機能低下を認めた.CT検査所見と合わせて骨盤内腫瘤による腎後性腎不全,急性腎盂腎炎と診断した.全身状態改善のために泌尿器科で腎瘻造設し,その後に当科で骨盤内腫瘤摘出術を施行した.摘出標本は85×70mm,病理結果で腹腔内遊離体と診断した.術後腎瘻抜去後も腎機能増悪はなく,尿意切迫感に対して保存的治療を行い改善した.腹腔内遊離体は通常は無症状であり経過観察となるが,自験例のように巨大腹腔内遊離体では,骨盤内に嵌り込み尿閉や便秘などの症状を呈する場合があるため,症状出現前に摘出手術を検討することも必要である.

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