日本臨床外科学会雑誌
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症例
Reduced port surgeryにて切除した骨盤内神経鞘腫の1例
野中 隆濱田 聖暁永吉 茂樹徳永 隆幸北島 知夫伊東 正博
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2014 年 75 巻 12 号 p. 3375-3378

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抄録

症例は60歳台,女性.腹部不快感を主訴に近医を受診し,腹部CTで骨盤内腫瘤を認め当院紹介となった.腹部造影CTでは,左内腸骨動静脈末梢枝沿いに径24mmの腫瘤を認め不均一な造影効果を呈していた.骨盤造影MRIのT2強調画像では,辺縁高信号,内部は不均一な造影効果がみられた.発生部位,画像所見から仙骨神経由来の神経鞘腫が考えられた.悪性腫瘍も否定できず,reduced port surgeryにて腫瘤摘出術を施行した.病理組織学的所見では,構成細胞に異型性無く神経鞘腫と診断された.神経鞘腫はSchwann細胞から発生する腫瘍で,骨盤内後腹膜に発症する頻度は約1%とされており極めて稀である.治療法は被膜を含めた外科的切術が第一選択であるが,本症例のように狭小な骨盤深部の手術においては,腹腔鏡手術は低侵襲かつ視認性に優れ,有用なアプローチである.

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© 2014 日本臨床外科学会
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