日本臨床外科学会雑誌
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症例
腹腔鏡を併用して切除した腹直筋直下未分化多形肉腫の1例
大木 悠輔児島 洋山本 祐司佐藤 公一吉田 素平渡部 祐司
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2014 年 75 巻 12 号 p. 3384-3388

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抄録

Undifferentiated pleomorphic sarcoma(UPS)は主に四肢に発生する腫瘍であり,腹腔内や腹直筋直下に発生する例は稀である.
症例は79歳の男性で,左中腹部腫瘤を主訴に当科受診した.腹部超音波検査で腹壁から栄養血管の流入を確認し,positron emission tomography/CTで高度FDGの集積がみられた.開腹幽門側胃切除術の正中切開創があったためデスモイド腫瘍を鑑別として挙げたが,悪性腫瘍の可能性も否定できず腫瘍の発生起源の鑑別およびマージンを確保するため腹腔鏡観察を併用し,腹直筋合併腫瘍摘出術を行った.最終的にUPSであり,腫瘍マージンが確保できていることを病理診断で確認した.
腹直筋直下に発生するUPSを経験したが,腹腔鏡観察は腫瘍起源確認のみならずマージン確保の点からも有用であると考える.

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© 2014 日本臨床外科学会
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