2014 年 75 巻 2 号 p. 337-343
緒言:上腸間膜動脈閉塞症(以下,SMAO)の治療成績について血管外科的処置の有無を含めて検討した.対象:手術を行ったSMAO 11例(血管治療付加群6例と非付加群5例)を対象とした.結果:術前検査では付加群にてbase excessが低値であった.ASA-PS,APACHE II,E-PASSとGlasgow prognostic scoreは両群に差を認めず,Prognostic nutritional indexは非付加群にて低値であった.付加群では発症から緊急手術までの時間が短かった.付加群の切除腸管は短く,残存小腸は長かった.手術関連死亡は重篤な心疾患に伴う多臓器不全による2例(18.2%)で,救命率は付加群83.3%,非付加群80.0%であった.まとめ:SMA起始部付近での閉塞に対して血管外科的治療を加えた症例では,腸管長をより長く温存でき,救命率が高かった.