日本臨床外科学会雑誌
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症例
GISTとの鑑別を要した胃未分化癌の1例
黒田 顕慈田中 浩明大平 雅一崎村 千恵六車 一哉桑江 優子平川 弘聖
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2014 年 75 巻 2 号 p. 403-408

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抄録

症例は65歳の男性.胸部不快感を認めたため,上部消化管内視鏡検査を施行したところ,胃前庭部前壁に3型の腫瘍を認めた.生検の結果,低分化腺癌と診断された.CTにて小弯側リンパ節の腫大を認め,cT4aN1M0,cStage IIIAと診断し,開腹下に幽門側胃切除術,D2郭清を施行した.手術所見では,小弯リンパ節の腫大および肝への直接浸潤を認めた.病理学的検査を行ったところ,原発巣では上皮性成分を認めず,c-kit陰性であったが,DOG-1陽性であり,GISTと考えられた.しかし,転移リンパ節において上皮性成分が認められ,免疫染色の結果,上皮系マーカーが陽性,その他のマーカーが陰性であったことから,最終的に,どの組織型にも属さない胃未分化癌と診断された.胃未分化癌は極めて稀な組織型であり,どの部分にも腺癌や扁平上皮癌などへの分化を示さないため,組織学的確定診断が困難であると考えられた.

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© 2014 日本臨床外科学会
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