日本臨床外科学会雑誌
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症例
多様な病理組織像を呈し長期生存したAFPおよびHCG産生胃癌の1例
田邉 和孝徳家 敦夫影山 詔一中村 公治郎尾崎 信弘
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2014 年 75 巻 2 号 p. 420-426

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抄録

症例は70歳の男性で,健診で胃の異常を指摘された.上部消化管内視鏡検査で胃体上部前壁に1型病変を認め,腹部造影CTでは小彎側に腫大したリンパ節腫大を認めた.血液検査ではAFP 15.7ng/mL,HCG 552mIU/mLと上昇を認めた.cStage IIの進行胃癌と診断し胃全摘・脾合併切除,Roux-en Y再建術を施行した.病理組織所見にて充実性構造の低分化型腺癌を認め,それを中心にHCG陽性の絨毛癌様部分,腫瘍細胞が索状配列をとるAFP陽性の肝癌様部分,敷石・シート状配列をとるPALP陽性の胚細胞腫様部分を認めた.現在,術後6年6カ月経過したが再発を認めていない.AFPとHCGが共に高値を示す胃癌はまれであるが,これらの癌関連抗原陽性の胃癌は進行例が多く予後不良とされている.今回,われわれは健診にて発見されたAFP・HCG産生胃癌の1長期生存例を経験したので,若干の文献的考察を加え報告する.

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© 2014 日本臨床外科学会
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