2014 年 75 巻 2 号 p. 549-552
症例は12歳男性で,転落した際にCTで脾腫瘍を偶然発見され,リンパ腫の疑いで当院に紹介となった.MRIでは脾門部に5×4.5×4.5cmのT1低信号・T2高信号の円形腫瘤を認めた.造影MRIで早期からほぼ均一に強く造影され造影効果は遷延していた.以上より,血管腫または血管系腫瘍と術前診断し,開腹脾部分切除術を施行した.ドップラーエコーで腫瘍部と正常部の血流を確認しながら,脾動脈末梢枝を順にクランプして腫瘍へ流入する血管を同定した.腫瘍の栄養血管からインジゴカルミンを注入して切離ラインを決定することで出血を最小限に抑えて部分切除を行った.残存脾の捻転を予防するため大網に固定した.術後経過は良好で術後5日目に退院した.病理診断はcord capillary hemangiomaであった.