2014 年 75 巻 3 号 p. 643-647
嚢胞形成を伴った長径15cmの閉経後乳腺偽血管腫様過形成(pseudoangiomatous stromal hyperplasia,以下PASH)を経験したので報告する.症例は63歳,女性.1年前より左乳房の腫瘤を自覚し受診.約15cmの腫瘤を認め,超音波検査では嚢胞形成も認められる混合性病変であった.生検組織で硝子化,肥厚した間質内にスリット状の間隙を認め,PASHの診断となり,摘出術を施行.摘出標本でも同様の所見で,免疫染色ではCD34およびvimentin陽性,CD31およびfactor VIIIは陰性,またER・PgRは陰性であった.今回の自験例に若干の文献的考察を加え報告する.