日本臨床外科学会雑誌
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症例
進行乳癌に対するbevacizumab投与中に大動脈解離を発症した1例
吉村 紀子川渕 義治安井 大介黒尾 優太山口 拓朗中光 篤志
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キーワード: bevacizumab, 大動脈解離, 乳癌
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2014 年 75 巻 3 号 p. 652-656

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抄録

症例は68歳,女性.左乳癌T4cN3cM1(OSS)Stage IV(充実腺管癌・ER+・PgR+・HER2-・Ki67 labeling index:14%未満)の診断で,weekly paclitaxel+bevacizumab(BEV)+zoledronic acidを開始した.開始早期から良好な奏効を示していたが,BEVの有害事象と考えられる高血圧・蛋白尿が出現した.5コース目で突発的な激しい背部痛が出現し救急外来を受診.この時,施行された単純CTで原因を特定されず,鎮痛薬と安静で症状が改善した.その後,9コース目終了時の造影CTで偶発的に大動脈解離(DeBakey IIIb型)を指摘された.BEVの有害事象の可能性が否定できず,BEVの中止と降圧薬を開始し保存的加療で重篤な転機を免れた.本邦におけるBEVの市販後調査において,乳癌に対する同剤投与中の大動脈解離発症例は本例が初である.

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© 2014 日本臨床外科学会
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