日本臨床外科学会雑誌
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症例
十二指腸乳頭部癌肉腫の1例
荒木 孝明山本 久仁治盛 直生櫻井 直樹飯澤 肇田村 元
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2014 年 75 巻 3 号 p. 685-691

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抄録

症例は61歳,男性.主訴は上腹部痛,発熱であった.当院を紹介・受診し,胆嚢・総胆管の拡張と十二指腸乳頭部に1.5cm大の易出血性腫瘤を指摘され,生検組織検査で低分化型腺癌と診断された.十二指腸乳頭部癌の診断で亜全胃温存膵頭十二指腸切除術を施行され,切除標本における免疫染色を含めた病理組織学的検索の結果,最終的に癌肉腫と診断された.術後38日目に退院し,希望にて術後補助療法は施行されなかった.術後49日目に四肢冷感,腹痛を訴えて来院し,多発肝・残膵・リンパ節転移・腹膜播種の出現を指摘された.再発腫瘍からの腹腔内出血で高度の貧血をきたしており,輸血等で加療されるも状態は急速に悪化し,術後63日目に永眠された.十二指腸乳頭部癌肉腫は本例を含め5例の報告しかない極めて稀な疾患である.全例手術治療されるも,3例は肝転移をきたして術後8カ月以内に死亡しており,他臓器の癌肉腫同様,予後不良な疾患といえる.

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© 2014 日本臨床外科学会
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