日本臨床外科学会雑誌
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症例
鼠径ヘルニア術後のメッシュを含み腸管膀胱瘻を形成した虫垂粘液嚢腫の1例
河毛 利顕田原 浩長谷 諭布袋 裕士前田 佳之佐々木 なおみ
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2014 年 75 巻 3 号 p. 711-715

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抄録

症例は76歳,女性.4年前より腸管膀胱瘻を指摘されていた.右鼠径ヘルニア術後であり,また腹部CT検査で右下腹部に腫瘤を認めることから,メッシュによる異物肉芽腫あるいは虫垂腫瘍との関連性を疑った.腫瘍マーカー(CEA,CA19-9)の上昇は認めなかった.開腹時,右下腹部には虫垂原発腫瘍と考えられる腫瘤が認められ,メッシュを巻き込んでいた.さらに虫垂腫瘍は膀胱に浸潤し,腸管膀胱瘻を形成していた.回盲部を含めた腫瘍摘出術,膀胱合併部分切除を施行し,同時にメッシュも除去した.病理組織学的には虫垂腫瘍はlow-grade appendiceal mucinous neoplasmsであった.虫垂粘液嚢腫は比較的稀な疾患であるが,その中でも他臓器と瘻孔を形成した症例は極めて少ない.今回,鼠径ヘルニア術後のメッシュを含み腸管膀胱瘻を形成した虫垂粘液嚢腫の1例を経験したので,若干の考察を加えて報告する.

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© 2014 日本臨床外科学会
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